文化庁に申請された
石垣の発掘調査にまつわる虚偽
平成29年8月29日に名古屋市が文化庁に申請した名古屋城に関する「現状変更許可申請書」について。
名古屋市民オンブズマンが公開請求を行い取得した資料。 PDF
名古屋市民オンブズマンが公開請求を行い取得した資料。 PDF
名古屋市が文化庁に提出した名古屋城石垣調査の申請書(「特別史跡名古屋城跡の現状変更(石垣調査等)の許可申請書」29観名整第60号 平成29年8月29日 宛:文化庁長官 発:名古屋市長 河村たかし)には、石垣調査の理由を次のように上げている。
「8 史跡、名勝又は天然記念物の現状変更等又は保存に影響を及ぼす行為を必要とする理由
天守台の石垣の現況と内容並びに天守台の地盤の状況を把握するため、発掘調査及び地盤調査を行う。また、これらの調査を行うために必要な仮設物の設置を行う。」
添付されている「(3)調査予定位置図」には天守台を囲むように発掘調査の箇所が示されている。
「8 史跡、名勝又は天然記念物の現状変更等又は保存に影響を及ぼす行為を必要とする理由
天守台の石垣の現況と内容並びに天守台の地盤の状況を把握するため、発掘調査及び地盤調査を行う。また、これらの調査を行うために必要な仮設物の設置を行う。」
添付されている「(3)調査予定位置図」には天守台を囲むように発掘調査の箇所が示されている。
さて、天守木造化を計画する竹中提案書の62ページには、天守木造化、及び現天守解体工事のための仮設物の説明が掲載されている。
きれいに符合するのではないのだろうか?
名古屋市が行おうとしているのは「天守木造化」に向けての足場や重機、素屋根設置のための地盤調査であって、石垣の保全のためとは言えないのではないか。(少なくとも「隠す」必要はないだろう)
「10 現状変更等により生ずる物件の滅失若しくはき損又は景観の変化その他現場変更等が史跡に及ぼす影響に関する事項
調査による掘削を必要最小限に収め、調査終了後は、元の通り埋め戻しを行うため、史跡に与える影響は軽微である。
仮設物は石垣調査のためのものであり、調査完了後は撤去し、現状復旧を行う。掘削を伴わない仮設であるため、史跡に与える影響は軽微である。」
文化庁に提出された申請書に「天守木造化」の文言はない。
名古屋市は自ら記述するように、「掘削を必要最小限に収め」なければならない。
石垣の調査(石垣カルテの作成)などに必要な範囲を超えて、掘削を行ってはならない。
天守木造化の為の仮設物のための荷重検査などを行うとすると、それは申請書が虚偽ということになる。
今回の石垣調査は上記のように「石垣保全のため」の調査である。
天守木造化の為には、この調査とは別に石垣やお堀が天守木造化計画に盛り込まれた重量仮設物の荷重に耐えられるのかなどの調査が必要とされる筈である。その調査の計画時期はいつなのだろうか?
ただでさえ計画が遅れ気味であると仄聞する上に、こうした申請が為されていないとなると、いよいよ工期は遅れるのではないだろうか。
今回の調査に、その調査も紛れ込ませるとするならば、それは当申請書に虚偽の事項を掲載したこととなるだろう。それは文化財保護法に違反することになる。
名古屋市がそのような違法行為や、文化庁を欺くような姑息な、幼稚な行為を行うとは思えない。しかし、少々気がかりなことがある。「発掘調査は名古屋市学芸員が担当し、業者委託による支援を受ける」とされているが、名古屋市学芸員は1人しかおらず、支援する業者とは他ならぬ竹中工務店なのだそうだ。